カリキュラム
コミュニティデザイン学科では、4年間を通してコミュニティデザイナーに求められる
「課題を解決する力」や「人を支援する力」を身につけていきます。
山形や東北の地域をフィールドとした「スタジオ活動」などの実践的な教育が大きな特徴です。
学年ごとの到達目標と授業内容
【1年次】 コミュニティデザイン基礎力を身につける
ワークショップ演習
コミュニティデザインにおいて「ワークショップ」は地域の現場における合意形成や主体形成を行う上で基本的かつ重要なプロセスとなります。
この演習を通して、ワークショップを実施するうえで必要となる要素、特にテーブルファシリテーションについて重点的に演習し、地域でのコミュニティデザインを実践するうえで最低限必要な技術や心構えを習得することを目標とします。
DTP演習
コミュニティデザイナーとして、自分たちの活動や地域の魅力を伝えるうえで、欠かすことができないのがグラフィックデザインです。この授業では、グラフィックデザインを中心とした「伝わる表現」のつくり方を学びます。
(1)グラフィックデザインのプロセスを理解し、コミュニティデザインの実践に生かせるデザイン技術の基礎を身につける。
(2)目的に応じた表現をつくるために必要となる機材やアプリケーションの基本的な操作技術と知識を身につける。
地域留学
コミュニティデザインにかかわる役割や技術の必要性を実感するためには、実際に現場を体験することが重要です。
コミュニティデザイン学科では、1年生の早い段階から、まちづくり等に関係する民間企業等の現場で学ぶことで、コミュニティデザインの仕事への理解を深め、社会に出た時の働き方のイメージを持つことを大切にしています。
【2年次】 チームで課題解決する力を身につける
スタジオ
コミュニティデザイン学科の最も特徴的な授業は、スタジオです。2年前期から3年前期の1年半、教員と一緒に地域に入って活動する実践的な授業です。
テーマは中心市街地や過疎地、被災地など様々ですが、どのスタジオでも学生自身がプログラムを考え、地域の方々とともに課題解決の道を探っていきます。
2年生と3年生が合同でプロジェクトを進めるのも学びのひとつ。チームで活動する力やリーダーシップを育みます。
岡崎スタジオが山形県大江町で取り組んでいるプロジェクトのムービーを見ることができます!(制作:『おいで、おおえ』)
知識科目
コミュニティデザイナーとしてプロジェクトを進める上では、論理的思考力に加えて、地域社会や当該フィールドに関する基礎的な教養や知識が必要です。
その基礎的な知識を身につけるために、コミュニティデザイン学科では抱負な知識科目を用意しています。
商品開発、社会教育、行政計画、組織開発、リノベーションなど学生それぞれが関心や興味に合わせて選択して学ぶことができます。
【3年次】 課題解決のためのプロジェクトをデザインできる
プロジェクトデザイン科目
地域でコミュニティデザインを進める上では、自ら企画立案し地域課題解決のプロジェクトをデザインする能力が求められます。
3年生では、「プロダクトやツアーなど商品開発」「地域課題解決のための事業」の2つのプロジェクトデザインを実践します。
ここで生まれたプロジェクトを発展させて4年生の卒業研究につなげることを目指します。
キャリア科目
卒業後の進路選択に向けたキャリア形成も授業の中で取り組んでいます。
それぞれの学生が深いところにある課題意識を掘り下げ、自らの強みや弱みを分析することから、将来どう行きていきたいかを言葉にしていきます。
あわせて、コミュニティデザインの分野で活躍しているプロフェッショナルから仕事について話を聞く機会などをつくり、それぞれのキャリアイメージの獲得につなげます。
【4年次】 課題解決のためのプロジェクトを実行できる
卒業研究
コミュニティデザイン学科の学びの集大成となるのが、4年次に取り組む「卒業研究」です。それぞれの学生が自ら地域を決めて、実際にコミュニティデザインのプロジェクトを実践します。
課外活動
SCHシンポジウム
SCHとはSuper Community Highschoolの略。この活動は、高校生の地域 参画と、高校・行政・民間のネットワーク形成を目的に行われています。 地方の高校生の都会への流出は大きな地域課題です。また、部活や勉強が忙しく、地域行事に参加する高校生も少ないため、進学や就職先に「地元」という選択肢が減少しています。 地方創生が叫ばれる今日に必要なのは主体的に学び、課題発見・解決ができる人材。このシンポジウムでは高校生が地域の中で実践を通して学んでいくアイデアを、高校・行政・民間の三者が協働して生み出すワークショップを行います。また、 ここで生まれたアイデアを各地で実践する動きも出てきています。司会やプログラム作り、全国の事例の抽出、グラフィックレコーディングなど、すべてコミュニティデザイン学科の学生が行い、教育変革の場を生み出しています。
サマーアイデアキャンプ
高校生向けに毎年2泊3日で地域課題解決の体験合宿を行っていま す。実際に地域の人に話を聞いて魅力や課題を見つけ、チームに分かれて解決策のアイデアを考えます。各チームに大学生が2人ついてサポート。高校生に近い存在だからこそ、気持ちを理解しながら鼓舞することができ、アイデアの可能性が広がります。また、寝食を共しながら課題に取り組むことで、短期間でもプロセスを踏めばチームになれることを体感します。そして、このイベントもすべてコミュニティデザイン学科の学生が運営。コーディ ネートはもちろん、資金集めのための助成金の申請、開催地との交渉、事前フィールドワークなども学生が行います。「どうしたらやる気になるのか」から「食事の材料はどのくらい用意すべきか」まで、スタートからフィニッシュまで実践できる重要な学びの場になっています。
地域イベントのサポート
大江町の道海という集落で年に2回行われるお祭りのお手伝いや、天童市田麦野地区の酒米の田植えと稲刈り、山形市の中心街にある公園でキャンドルイベ ントのサポート......。他にも県内外のお祭りやイベントにコミュニティデザイン学科の学生が頻 繁に出没します。先輩から後輩へ引き継ぎながらも、最終的に地元の方が自立して行っていけるようサポートを心がけています。 1年生から関わることで地域の豊かさを感じる重要な場。地域の方と触れ合いながら地方の豊かな食文化や生活文化を楽しみながら理解していきます。
プロのコミュニティデザイナーの現場サポート
コミュニティデザイン学科の教授陣が所属するコミュニティデザイン事務所「studio-L」の仕事に、自治体の総合振興計画を作るという仕事があります。まちづくりの基盤となる計画で、コミュニティデザイナーの力を最も発揮できる仕事のひとつです。
地域の方の合意形成を得るためにプログラムをデザインし、課題の整理やアイデアを抽出し、総合振興計画に落とし込んでいきます。 現在作成中の宮城県気仙沼市と、山形県朝日町の総合振興計画に学生もファシリテーターとして関わっており、プロのコミュニティデザイナーの手法を間近で吸収しています。